●8月8日 「俺は間違っているのか?」




BBSの方でもちょこっと書き込んでおいたのですが、
8月1日から1週間ほど実家へ帰っておりました。

帰郷して私がすることってのはだいたい決まっておりまして、



●実家の我が愛しき猫をこねくり回す。

●寮生活で欠乏していた栄養素の急速補給。


●散髪。



この三つを必ず成し遂げているのであります。


特に三つ目の『散髪』は個人的にかなり重要でして、
私は髪の毛が伸びてくると友人から
「ヨハンみたーい」
と褒められてるのか(爆)けなされてるのか分からないことを言われるので、
一刻も早く元のイブリスに戻るべく、実家で散髪するんです。

何も地元でしなくとも…と、お思いの方もいらっしゃると思いますが、
地元にはずいぶんと安い料金で髪の毛を切ってくれる床屋さんがありまして、
しかもそこで切ってもらうと、今までのヨハンヘアーから一変、
まるで板前さんのような力強い髪型になるのです!!

そりゃもう「僕が見えますか?」って道行く人々の顔をフン捕まえちゃいたいくらいに!





そしていつも通り、いつもの床屋さんに入って軽い挨拶の後、椅子に案内される。

時刻は午前11時ちょっと前。時間が時間だけにか他の客は一人もいない。
こりゃいつもより早く終わるな…そう思ってると、見慣れない金髪・丸顔の青年が近づいてくる。

どうやら今日はいつも切ってくれる人ではなく、この人が切ってくれるらしい。
まァ若い人だし、髪型もそれなりに今風にしてくれるだろう。

そんなことを考えながら、椅子に座ってたんですが…なかなか始めてくれない。

ってか、ハサミ持ったまま女性従業員とずっと談笑してる。






プチッ。





しかし私ももう二十歳になった身。こんなことくらいでプチプチしてたら駄目だと
自分に言い聞かせ、素直に話が終わるのを待つ…


女性との話が終わったのか、金髪丸は私に「髪型はどうされますか?」と
聞いてきました。
いつもの人なら「いつも通りに」と言えるんですが、この金髪丸は初めてですので
「前髪は眉にかからない程度に、もみあげは残して、刈り上げにならない程度に短くして下さい」
と伝えました。
この床屋さん以外でやむなく散髪してもらう場合、必ずこう言ってるんですが。


すると金髪丸はいつものように髪を水で濡らして切るようなことをせず、
そのままシャキシャキと私の髪を切っていきます。ちょっと意外。



シャキシャキ。



シャキシャキ。



シャキシャキ。



チャッチャーラッララーラー、チャッチャーラッララーラー♪



突然店内に響き渡るウタダの『光』らしき電子音に、思わずビクッと反応してしまった私。

どうやら金髪丸の携帯の着メロらしい。

ま、切り忘れとかマナーモードにし忘れたこととか私にもありますしね。
そんなことはたいして問題ではありません。


問題は、


直後に金髪丸が手を止め、
携帯を取り出して着信メールを見てることです。







プチプチッ。





流石にちょっとカチンときましたが、
私は大人ですので舌打ち1発でその場は勘弁してやりました。


カチカチと音がします…どうやら金髪丸はメールを返信してるらしい…





プチプチプチッ。





落ち着け私!! 本気で自分にそう言い聞かせていると、
金髪丸が作業に復帰してくれました。



シャキシャキ。



シャキシャキ。



シャキシャキ。



シャキシャキ。



チャッチャーラッララーラー、チャッチャーラッララーラー♪





再び手を止め携帯を取り出す金髪丸。


さも当然のようにメールを返信する金髪丸。






プチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチプチッ。




堪忍袋の緒が切れるとはまさにこのこと。
流石に黙っていられなくなったので、未だに携帯に目をやっている金髪丸に、

「ちょっと。今、仕事中ですよねアナタ?」

と、声をかける。
かなり怒気が含まれてたと思うのですが、
金髪丸は、


「はぁ」


と、何とも軽く流してくれました。


「ここの床屋さんは仕事中に携帯してもいいんですか?」

らしきことをさらに怒気を入れ込んで言い放ってやったんですが、
金髪丸は
「はぁ、仕事のメールですので」
と、さらりと言ってのけました。

仕事のメール? なんじゃそりゃ? と首を傾げてる私。

話を聞いてみると、どうやら金髪丸は
お客さんの注文する髪型や髪質などを逐一メールでやりとりし、
情報交換やアドバイスをやっていたようなのです。


私はバイト先でPOSシステムという情報管理・運営システムが使われていたのを思い出し、
それと似たようなものかと尋ねてみました。

すると…



「いえいえ、僕らアホですからパソコンなんて使えませんのですよ。
だから携帯のメールでやりとりしてるんです」




ハッキリ言ってくれました。



「お客さん、何か厳しい仕事でもしてるんですか?
僕、仕事中にメールするななんて言われたの初めてですよ?」




「……………………………」



「それにパソコンなんて使えたら、弁護士にでもなってますよ。
よくお客さんに『客の顔を覚えてないのか?』って言われますけど、
そんなに記憶力良かったらそれこそ弁護士ですよ。
僕らアホだからこんな仕事してるんですから」




「……………………………」













呆れた。





いい大人がこんなこと言うなんて…
よくテレビとかで似たようなことを言ってるのを見て苦笑してましたが、
まさか床屋で直に経験するとは思いませんでした。

アホだからこんな仕事してるって…そりゃ同業者に失礼極まりない発言だろうに。

せめてバイブにするとか、客に一言断ってからするとか、そういうことは
思い浮かばないのかなぁ…

ああやってあまりに当然の如く言われると、
呆れてものも言えなくなってしまいます…




さっきまでの怒りはどこへやら、呆れのあまりすっかり冷めきってしまったマイハート。


非常にショックでした。




その後、冷たい水で頭洗われ、
いつものように「整髪料をつけますか?」とか言われることなく、
その日の散髪は終了しました。



レジで対応してくれたのがいつも髪を切ってくれる人だったのですが、
さっきの私を知ってか知らずか「お客さん、帰ってらしたんですね」と気さくに声をかけてくれました。

「はぁ」と気の抜けた返事しか返せなかったのが今となっては悔やみですが…



家に帰ってこの話を家族にすると、どうやら母の知り合いもあの金髪丸に
髪を切ってもらった際、私と同じような経験をしてたようです。



当時はマジでゲンナリしてしまってましたが、

こうしてつぶやきで書いてたら
怒りがブリ返してきました。





次回の散髪も、あの床屋へ行ってきます。




完全武装で。











んで、私の散髪後の髪型はというと…

ヨハンヘアー短ヴァージョン(泣



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